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観劇の感想とか趣味のこととか

「Cocoon 月の陰り 星ひとつ」の星の方観てきたよ

@5/13(月)夜公演

 

いったん、ネタバレしないで感想書きますね。

※下の方は文字色変えてネタバレしてるから要注意

 

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語彙がねえ(ギブアップ)。なんていえばいいんだ。何をいってもネタバレになる。。

今回は事前のあらすじ・配役発表がないので、何のキャラがどうとか言おうものならその瞬間からネタバレになるという高性能地雷仕様。
「月の翳り」を観るのがもう少し先なんでまだ全貌が分からないけど、まずは面白かったです。

 

「星ひとつ」は物語の性質上、大きな盛り上がりとか壮大なドラマとかハッとするようなギミックが薄いんですけど、まあとにかく役者が素晴らしいのでちゃんと2時間成立してます。末満おじさんの信頼が見える。このキャストなら、しっかり展開させてくれるだろうっていうのを感じた。

 

宮崎秋人くんは素晴らしい役者だと思う。マジで。けっこう芯の強いタイプの役者なイメージで、今まで見てきた役も「男」って感じばっかりだったのに……ネタバレになるから言えないけどマジですごい。語彙もない。
2階席でしかも双眼鏡忘れてたんですけど、「なんか……声は秋人くんぽいのに……なんか、え、違う人かな???」って思った。
次は絶対双眼鏡持っていく。

 

あと、染様な……。
この人のシーンで観客の感情がめちゃくちゃ動く。冒頭ですすり泣き、中盤で手を叩いて爆笑、ラストは葬列。最初、大きな盛り上がりがないとは書いたけど、ラスト10分ぐらいはもう完全な葬儀だった。全部染様のせい。
あーーーーー!!!ここ本当に素晴らしかった!!もっと書きたい!!!でも考えもまとまらない!!!

 

あと、スペクターの感想がまだ書き終わってないんですけど、あの、本当にすごかった。何がとは言わない。本当にすごかった。
スペクターのキャスパレも過去作品を踏襲するような構成だったけど、星もすごい。一瞬、あれ?これはスペクター??って思うようなシーンもあった。キャスト違うのに。これは役者がそれだけ研究したんだと思う。

 

早く月の翳り編も観たい。待てない。手元にパンフがあるのに開けられない。地獄。

TRUMPのトランプも欲しい。あれ買って大貧民したい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【こっからすごいネタバレするね。見た人だけドラッグしてね】

まとまらないけど、思ったことをつらつらと。

 

 

 

 

 

 

 

「星ひとつ」編。

ウルの物語であり、デリコの物語でもある。いってしまえば、グランギニョルの幕は14年前ではまだ降りておらず、ここで本当に降りるわけですね。

 

今発売している戯曲集は「ソフィ・トリロジー」でTRUMP・LILIUM・SPECTERがそれにあたる。そして今、ウルやラファエロ・ダリのデリコ家のトリロジーCOCOONで完結しました。

マリーゴールドもデリコかな。グランギニョルマリーゴールド・COCCONですね。

 

星ひとつは、ラストシーンのために用意された物語だと思った。

生まれた瞬間から実の父親に呪われ、絶望の中短い人生を終えたウルにとって、手向けの花のようなラストシーン。きっと本人は気づくことはなかったと思うけれど、ウルは確かに愛されて、守られた人生だったのだと伝えたかったんだと思います。

ウルは希望を意味する言葉。ウルは良き友に恵まれ、ひとつの星を掴んで人生を終えた。ダリに抱かれながら血のように真っ赤な花が降り注いだあの光景は、今後の決して明るくはない未来を彷彿とさせて物悲しい気持ちになりつつも、とても美しいものでした。

 

14歳のウルを演じたのが28歳の秋人くんで、父親が31歳の染様だからちょっと歳が近すぎるんだけど(野暮)、すっごい泣いた。演技がうめえ。

 

ラファエロを失ったとき、ダリは憔悴し嘆き悲しんだけど、ウルの亡骸の前ではひたすらに気丈でした。

「誰もこの子の死を嘆いてはならん」

こういうところだよ、ダリちゃん……。ゲルハルトを侮辱されて激昂したり、ダリは誇り・尊厳を大事にするんだよ。

 ソフィは得ることで孤独になり、ダリは失うことで孤独になった。この対比もすごく切なかった。

 

グランギニョルのラストシーンからはじまり、同じ構図で幕を閉じる。星ひとつはTRUMPのリバース(デリコ視点のTRUMP的な意味で)のようで、展開としては観たことあるものなんだけど、このシーンのために素晴らしいキャストを迎えてウルを弔ったことに大きな意味があると思いました。